(「まえがき」より) 提案型営業とは、簡単に言えば「営業担当者が販売したいと思うモノは取りあえず脇に置いておいて、まずはお客様の話に耳を傾けて、お客様が『達成したいと思っていること』『解決したいと思っていること』を聞き出し、その達成、解決に役立つようなプランを提案する、というスタイルの営業」のことを言います。お客様の抱えている問題をお客様に代わって解決策を提案することから「問題解決型営業」とか「ソリューション営業」という名前で呼ばれることもあります。 営業担当者は、所属企業側から見れば「自社の取り扱っている商品・サービスを販売してくれる人」です。売り上げ目標を達成することは重要な任務ですから、営業担当者は取り扱っている商品やサービスを売ることに一生懸命になるのは当然のことです。 しかしながら、お客様は営業担当者が熱心に購入を勧める商品やサービスそのものに関心があるわけではありません。それよりも、「今抱えている課題を何とかしたい」「将来的にこういうことを達成したい」ということに関心があるはずです。営業担当者がそれを聞き流して商品やサービスの優れていることを熱心にお客様に訴えるだけではお客様はなかなか関心を持ってくれません。 従って冒頭で述べたように、営業担当者は自分の売りたいモノはとりあえず脇に置いておき、まずはお客様の話に真剣に耳を傾けて、お客様の抱えている課題を把握することに一生懸命になる必要があります。その上でお客様の課題解決に役立つプランを提案する、これが提案型営業です。 営業担当者は、お客様側から見れば「自分が解決したい・達成したいと思っていることの解決・達成のお手伝いをしてくれる人」、つまり「相談相手」「コンサルタント」でなければなりません。 本書はそのような提案型営業についての「基本の『キ』」について解説したものです。営業職に初めてつく方はもとより、営業という仕事を始めてまだ日が浅い方、年数は長いが今まで基本について教わる機会がなかったベテランの方々にも読んでいただくことを願っております。(内容)序章 提案型営業とはどのようなものか第1章 お客様の情報を収集する1.情報収集のメリット2.どんな情報を集めればよいか ①お客様の状況3.どんな情報を集めればよいか ②お客様の目的4.どこから情報を収集するのか第2章 情報収集のためのコミュニケーションスキル1.傾聴2.観察3.確認4.間合い5.質問第3章 提案型営業における商談の流れ1.訪問前の事前プラン2.話し合いの雰囲気を作る3.お客様の情報を収集する4.お客様に提案する5.商談のしめくくりを行う6.訪問後の事後レビュー第4章 「障害」に対処する1.「障害」とは何か2.障害対処の基本ステップ ①障害を明らかにする3.障害対処の基本ステップ ②障害のタイプを判別する4.障害対処の基本ステップ ③タイプ別に対処する終章 提案型営業に必要なマインドとスキル