日々の生活や経済活動を支えるインフラのうち、石油を精製したり、海底から掘り出した液化天然ガス(LNG)を貯蔵したり、鉱山から資源を発掘したり、医薬品の研究を行ったり、発電したりといった大掛かりな活動を支えるインフラは、エンジニアリングと呼ばれる業界の会社が大規模工事をこなすことで作り出されている。エンジニアリング事業の正式な定義について、年間完成工事高から言って日本でこのビジネスの第一人者となっている企業(日揮ホールディングス)による定義は次の通りである。「当セグメントは、石油、石油精製、石油化学、ガス、LNG、一般化学、原子力、金属精錬、バイオ、食品、医薬品、医療、物流、IT、環境保全、公害防止等に関する装置、設備および施設の計画、設計、調達、建設および試運転役務等のEPCビジネスを中心に構成されております」(2020年3月期有価証券報告書より)(EPC=Engineering(設計)+Procurement(調達)+Construction(建設))本書では、このエンジニアリング業界について、初めに業界全体の市場動向を探り、その後にアメリカの大手1社(売上2兆円規模の米Fluor社)および売上数千億円規模の日本の大手3社がどのように経営を行っているか、収益規模や従業員数、利益率の違いについて分析する。